10 分待っても飛行機は到着しなかった。まぁ、予想された事態ではある。 到着ロビー(と呼べるようなものはないことが後でわかったが、、、)で 待っているはずの妹に連絡を付けたかったが、そこに行くためには税関を 通らねばならない。税関申告書を 1 通しか持っていない(どの国でも、普 通税関申告書は同じ名字を持つファミリーで 1 通のみ申請すれば良いた め、複数枚は貰わない。)ため、出るにも出られない状態が続いた。
結局、 1 時間ほど待ってようやく飛行機が到着したようだ。ターンテー ブルが回り出して、しばらくするとバッグが出てきた。 JFK の乗り継ぎ 便への荷物積み込みで目撃されて以来の対面である。
税関を通過し、ロビーといういか、廊下を出て行くと、妹がいた。かなり 心配していた(当たり前)ので、今までの事情を説明した。彼女曰く、「荷 物がちゃんと次の飛行機で届くだけマシ。」なんだそうだ。
妹の横で話をしている黒人男性がいた。彼がタクシードライバーのキース らしい。妹と何事かを話すと、彼はずんずん進んでいった。どうも、車を 取りに行ったらしい。キースの車はボルボのセダンだが、かなり古い。相 当年代モノのようだが、詳細は分からない。
我々の荷物を積み込んだところでお互いに自己紹介となった。人のよさそ うな笑顔が印象的だった。
キースの車に乗り込み、キングストン市内へ向かう。空港から市内までは 約 20 分ほどかかるようだ。ただし、これは夜間でのこと。昼間は渋滞す るらしく、 30 〜 40 分、ひどい渋滞のときは 1 時間ほどかかってしまう らしい。
さすがに 0:00 近いので、歩いている人間はいない。その中を車はホテル に向かって進んでいく。途中、ガイドブックにも乗っているボブ・マリー 像の側を通った。レゲエにはあまり興味がないので、そういう人物がいた という程度の認識しかない。
やがて、ホテルに到着。今回宿泊するホテルはジャマイカ・シェラトンで ある。昔は違う名前のホテルだったが、最近シェラトンになったらしい。 フロントでチェックインし、部屋に案内される。本館とゲストルームがあ り、我々はゲストルームの方に案内された。途中、バーやプールがあった。 宿泊者はプールで自由に泳げるらしい。
案内された部屋は天井が 3 〜 4m ほどあり、かなり高い。そのため、部 屋全体がとても広く感じる。とりあえずスーツケースを開け、寝る体制を 整える。ちょっと荷物の整理をしてから就寝となる。 1:30 頃だったよう な記憶がある。明日は 12:00 にロビー集合ということになっている。
部屋の様子
どれくらい寝ていただろうか。カーテンを閉めていたので外の様子は分か らない。電話の音で目が覚めた。電話に出ると妹だった。時刻はすでに 12:30 だそうだ。びっくりして飛び起きた。あと 30 分でロビーに出て行 くことを告げ、電話を切る。慌ててシャワーを浴び、着替えを済ませる。 予定よりもさらに 5 分ほど遅刻してしまった。妹と同じ青年海外協力隊の メンバーで、グリーンアイランドという、キングストンからバスで 6 時間 ほどかかる場所に赴任している人が来ていた。
今日のお昼ご飯はホテルの近くの「 Hot Pot 」というお店で、ジャマイカ の料理を食べさせてくれるお店に行くのだそうだ。
店の外にある Hot Pot の看板
本日のメニューは壁に下がっている黒板に書かれているものがすべてなん だそうだ。魚、ビーフ、ポーク、チキンなど選り取りみどりである。自分 はチキン、妻は蒸した魚、母も妹も魚。妹の友人はカレー味のマトンを オーダーした。飲み物としては、自分はコーラをオーダーしたが、女性陣 は妹の推薦もあって、フルーツパンチをオーダーした。どこにでもあるそ うだが、店によって味が違うらしい。この店のフルーツパンチは氷が一緒 に入っていて、シャリシャリして美味しいのだそうだ。妹の友人は、ジャ マイカ産のビール、 Red Stripe をオーダーした。
しばらく待つと料理が運ばれてきた。メインの料理のほかに、ブレッドフ ルーツ、バナナを煮たもの、小麦粉を練ったすいとんのようなものが付い ている。それに、豆ご飯が付いている。ブレッドフルーツは植物の実で、 炒めて食べる。これはさつまいものように甘くて美味しい。バナナを煮た ものは、まだ青いバナナを煮て、付け合わせのように食べる。これ自体で は味がないが、メインのチキンがちょっと辛めの味付けになっているので、 一緒に食べるとちょうどバランスが取れる。すいとんのようなものも非常 に固いのだが、メインと一緒に食べるとバランスが取れて美味しい。
食事の後、青年隊の事務所があるビルの前でキースと待ち合わせになって いるらしく、徒歩で移動する。この辺りはいろいろな会社のオフィスが多 いのだそうだ。治安も比較的良いらしい。
約束の時間より少し遅れてキースがやってきた。これから、妹が勤めてい る西インド大学に行く。この大学はカリブ海域では最高水準を誇っている らしい。メインエントランスには国連児童年を記念して描かれた壁画があ る。
メインエントランスの壁画
その後はタクシーの中からだけだが、ホープ植物園やデヴォンハウス、ボ ブ・マーリー博物館の前を通った。中には入らなかった。
キングストン内のとある通りでキースのタクシーを降り、お土産の買い物 をすることにした。買い物の前に近くにマクドナルドがあったので、そこ で休憩することにする。
いろいろな人たちが出入りしているが、中には何も買わない子供もいた。 その子たちは近くに来ては、「お金、頂戴」と言う。もちろんあげるつも りはさらさらないので、追い払う。
マクドナルドから前の通りを走る車やドライブスルー(ジャマイカのマク ドナルにもドライブスルーがある)に入ってくる車を眺めていたが、ほと んどが日本車、しかも、トヨタが多い。こんなところでも日本車が走って いるんだなとのんきに考えていたが、ジャマイカでは、日本車には 200% の関税が掛かるのだそうだ。ということは、 30 万で売られている車は 60 万になることになる。中にはマーク II やアリストなども見かけた。 ジャマイカの所得水準からすれば、日本車は明らかに「買えるはずのない モノ」なのである。ところが、若い女性が平然とアリストに乗っていたり する。なぜ、そのようなことができるのか? 答えは簡単で、身内の誰かが 海外に出稼ぎに出ているか、ドラッグマネーかのどちらかなのだそうだ。 ジャマイカ人は主にアメリカやカナダ、イギリスに出稼ぎに出るのだそう だが、彼らがジャマイカに送金している額は軽くジャマイカの国民総生産 を上回るといわれているそうだ。また、ドラッグマーケットもかなり大き な規模のようで、これまた相当な額になっているらしい。
いずれにせよ、このような金があって初めて日本車を乗り回す生活も可能 となっている。でなければ、物価が日本と変わらないのに、この国の国民 が生活できている理由が説明できない。
ショッピングモールには普通の洋服を売っている店もあれば、装飾品を 売っている店もある。そうかと思えばお土産屋も並んでいたりする。実に 不思議なところである。
土産物の中で一番笑えたのは、 T シャツにパクリモノが多いことである。 ジャマイカにはハードロックカフェがないのに、ハードロックカフェジャ マイカと書かれた T シャツが平然と売られていたりする。それ以外では ココナツの実を加工した工芸品やクラフトワークなどがあった。もちろん、 コーヒーや香辛料も売られているが、高いのでここでは買わない。
特に目を引くものもなかったので、自分たちは何もかわずに店を出る。
ショッピングモールから妹のアパートの近所までは白タクで帰ることに なった。この辺りの白タクは観光客相手だと必ずぼるらしく、事前に値段 を交渉しなければならないらしい。一人 50 JA$ で話がまとまったらし い。
運転手と自分たちですでに 5 人乗っているので、日本ではこれで定員なの だが、ジャマイカでは運転手と子供は人数に入らないらしく、最後にもう 一人乗ってきた。妹曰く、「こんなの当たり前」だそうだ。
妹のアパートに行く前に、アパートの目の前にあるショッピングモールで お菓子や飲み物など、明日のオーチョリオス行きのための買い物をする。 ついでに、お土産に香辛料を買い占める。
何はともあれ、無事に妹のアパートにたどり着くことができた。ここで夕 食に出かけるまで少しの間休憩する。