軽井沢ツーリング
その1
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- 部内旅行97
ある日、部内旅行の案内がメールされてきた。今年は軽井沢になるようだ。軽
井沢ならバイクで行った方が面白い。幸い、後輩が2名ほどこの話に乗ってき
たので、軽井沢までバイクで行くことにした。
軽井沢までの道は、以前『峠の釜飯ツアー』で走っているのでなんとかなる。
事前の計画はほとんど無しに等しいものだった。
- 前日
明日は部内旅行だというのに、中規模な席替えが実施された。それに伴ってネッ
トワークの見直し、および、敷設工事もやらねばならない。定時で退社してバ
イク屋で軽く点検してもらうという目論みはもろくも崩れ去ってしまった。
一時は季節はずれの台風がやってくるのではないかと思われたが、その危険は
なくなった。その代わり、いままで良い天気が続いていたのに、明日は崩れる
ところがあるという。寒気が日本に降りてきて、冷え込みも厳しくなるそうだ。
なんだか前途多難である。
さすがに席替えで疲れていたので23時過ぎには早々に寝てしまった。
- 秋晴れ
明けて10月25日。6時過ぎに目が覚める。外は秋晴れ。日頃の行ないの良
さがなせる技であろう。いつもと同じようにシャワーを浴びて、朝食を取る。
朝のニュースでも通過予定地の天気は良さそうだ。ただ、日本海側では天気
が荒れるそうだ。軽井沢も山一つ隔てた向う側は日本海である。ちょっと心
配。
- 装備の確認
装備の最終確認をして、パッキングする。クリアーのシールドは必ず持ってい
く。ポケットティッシュはできるだけたくさん持つ。例え降水確率が0%でも
長距離を走る時は必ずレインウェアを持っていくことにしている。あとは、ビ
ニールテープを1つ。布製のガムテープが良いのだが、かさばるのでビニール
テープで妥協する。あとは、お決まりの車検証、健康保険証など。メモ帳とボ
ールペンは必ず持っていくようにしている。
服装はどうしようかと悩んだが、『寒くなる』と天気予報で言っているので、
ツナギで出ることにした。ツナギの上にはブルゾンを着込んでおく。もし暑く
て死にそうになれば、脱げばよいが、寒いと着込むものがなくなるので悲惨な
ことになってしまう。それだけは避けたかった。
- 出発
荷物をリアシートに載せ、タンクバックを装着して準備完了。いつも会社に行
く時間とほとんど変わらないが、土曜日なので暖気は短めにする。いつも通り
の道を使って待ち合わせ場所の会社正門に行く。
会社の正門前にはどこかに出かけると思われる人たちがいた。土曜日の朝にし
ては多い方だと思う。集合時間まではまだ10分以上時間がある。ちょっと早
く出過ぎたようだが、遅れるよりはマシである。
5分前に会社の中からOが現れた。奴は会社の中に自分のバイクを止めている。
あとはNが来れば全員揃うが、なかなか現れない。『逃げたんじゃねぇか?』
などと勝手なことを言っていたらバンディットが現れた。これで全員集合。出
発しようと思ったが、Nが『免許証がない』という。机に忘れたかもしれない
ので探しに行くという。なんだかなぁ、、、
Nの免許証は見つからなかったらしい。もし途中に検問があれば、奴は『免許
証不携帯』となってしまう。ちょっとゴタゴタしたが、取りあえず出発する。
- 地獄の環八
中原街道から環八を目指す。Oのガソリン残量が厳しかったため、一番最初の
スタンドに立ち寄る。
土曜日の朝なので車が多いが、渋滞するほどではない。ほとんど何事もなく用
賀を通過する。用賀を越えてしばらくすると『環八』が牙を剥いてきた(笑)。
ほとんど車が流れないほど渋滞し始めた。高速道路のように1車線が広くない
ので擦り抜けもままならない。高井戸辺りで完璧に大渋滞。最初から苦労しそ
うだ。
井荻トンネルの手前から峠仕様のNSRが前に出た。彼はこの道を知り尽くし
ているらしく、結構なペースで擦り抜けしている。こっちもそれに便乗させて
もらった。NSRは井荻トンネルには入らず、上の道を進んでしまった。こっ
ちはそのままトンネルへ。
- O、車のミラーに当たる
当然ながら、トンネルの中も渋滞しており、排気ガスで熱気ムンムンである。
そのまま列に並んでいると熱気と排ガスでラリってしまいそうになるので、擦
り抜けを使う。最初は一番左側を使っていたが、途中でOが2車線の真中を進
んで行った。こっちはすぐに身動きできなかったのでしばらくそのままの状態
で進んでいたが、しばらくするとけたたましいクラクションの音がトンネルの
中に鳴り響いた。その時は、誰かが無理な割り込みをしたのだろうぐらいにし
か考えていなかった。
トンネルから出た信号で止まっていたら、Oが『車のミラーにぶつけたけど、
そのまま逃げてしまった』などと言っている。あのクラクションはOに向けら
れたものだった。
- やっとのことで関越道に乗る
環八から関越道へ分岐する交差点で最初のガソリン給油をする。ようやく地獄
の環八とお別れできる。
関越も渋滞しているが、一般道に比べれば道幅も広いので擦り抜けのやり易さ
は格段の差がある。ちょっとペースを上げてみる。Oとは一度ショートツーリ
ングに行ったことがあるが、Nは今回初めて一緒に走ることになる。手の内を
探りながら徐々にペースを上げる。
- 三芳PAで休憩
川崎からノンストップだったので、とりあえず三芳PAで休憩する。ここで後
輩のHのオルティアがいるかもしれないので、Hの携帯に電話を入れてみる。
H一行は渋滞にはまるのを避けるためにすでに関越道の45kmポストの地点
まで進んでいるらしい。三芳PAが10kmポストくらいだから、かなり前に
いることになる。
とりあえず、トイレに行って、速攻で出発する。
- 追いかけても姿が見えず
オルティアに追い付こうと思ったので、RVFに鞭を入れる。OとHには悪い
が、先を急いでみることにした。☆☆☆km/h までペースを上げる。断続的に
渋滞を繰り返しているので結構走りにくいが、ペースはさほど落さずに走り続
ける。
やがて、電話したときの45kmポストを通過するが、この時点ではほとんど
渋滞しておらず、オルティアに追い付くのはほぼ絶望だと思われた。間もなく
上里SAに到達してしまう。後方に置いてきてしまった2人に次の休憩ポイン
トを伝えていなかったので、スピードを緩めて2人を待つことにした。しばら
くすると2人とも追い付いてきた。
しばらく隊列を組んでの走行となる。間もなく上里SAに到着。休憩とする。
- フェラーリ軍団
上里SAの駐車場にはフェラーリ軍団が止まっていた。全部で10台ぐらい
いるだろうか、、、オーナークラブかなにかのツーリングなのだろう。しかし、
1台見かけることも稀なのに、10台くらい固まって止まっていると、なんだ
かありがたみが薄れてしまう。
オルティアのHに電話をかけてみるが、『電波の届かない…』と言われてしまっ
た。奴は一体どこを走っているのだろうか、、、
出発前にここから先の予定を確認しておく。上信越には乗らず、このまま関越
を進む。渋川伊香保ICで降りる。待ち合わせは渋川伊香保ICの料金所。確
認が終ると、出発する。
- 榛名山、再び
途中、前橋辺りで渋滞したが、IC付近はほとんどガラガラだった。渋川伊香
保ICから一般道に出る。そのまま榛名山を目指す。
今年の7月に車で榛名山には上っているが、バイクでは初めてである。ただ、
今回は11時に近いためか、交通量がかなり多い。途中、数ヶ所に登坂車線が
あるので、ここを有効に(笑)活用する。
道路の両側の斜面の木々はかなり色付いている。あと1週間ほど経てば見事な
紅葉が見られると思う。ちょっと残念。峠の頂上まで登ったら、そのまま休憩
なしで天神峠を越えて横川を目指した。ちょっと予定していた時間より遅れて
いる。
- 転倒
榛名神社までは前に観光バスがいたため、超低速走行、排気ガス攻撃を受けて
しまった。その後は快調に山を駆け下っていく。途中からさらに山道へと入っ
ていく。ここから先は道幅は狭いが、対抗車がいないので走りやすくなるはず
だ。
よくありがちな峠のようなコースになっているので、ちょっとペースを上げる。
Oは付いてこないが、Nは付いてきている。さらにペースを上げても食いつい
てくる。Nはなかなかやり手かもしれない。あまり調子にのってペースを上げ
てしまうとOが迷子になってしまうので、ペースを落す。
3台で隊列を組んで走っていた。とあるコーナーを抜けてバックミラーを見る
と、後ろにいるはずのNがいない。よ〜く見るとNが転倒している。驚いてU
ターンした。
- 最悪のこけ方
Nのバイクはメーター破損、ウインカー破損。さらに、フロントフォークが曲
がってしまい、右のアウターチューブが割れている。そのためにフォークオイ
ルが全て洩れていた。フロントタイヤがマフラーに干渉していて、ハンドルが
切れない。よく観察してみるとフレームの塗装が剥離していた。ということは、
フレームがよじれていることを意味する。残念だが、こいつは『一発廃車』と
いう状態である。
とりあえず、警察を呼び事故証明を作成するための調書を作って貰う。バイク
は自走不可なので、近所にあった工事現場の詰所に置かせて貰うことにした。
Nはショックのためか、川崎に戻ると言い出したが、Oと説得して無理矢理
軽井沢まで連れていくことにした。
- 腹が減ったぞ
とりあえず、NはOの後ろに乗せてタンデムすることにした。とにかく、喉は
乾くし、腹は減っているしで横川を目指す。
山道を抜けてR18に出た。R18を進むと、横川駅の側に『おぎのや』があ
る。とりあえず、ここで昼ご飯にする。すでに13:00を回っていたが、な
ぜか観光バスがたくさん止まっている。建物の中はかなり混雑していた。とり
あえず、釜飯とお茶を確保し席を探す。しばらくキョロキョロしていたら、
ちょうど3人分の席が空いた。なんとか落ち着くことができた。
とにかく腹が減って仕方がなかったので、猛烈な勢いで釜飯を平らげた。なめ
こ汁も一緒に買ったが、あっという間に食べてしまった。Oはさらに五平餅か
なにかを買っていた。
- 碓氷峠を越える
夏に来た時はガケ崩れで旧道が通行止になっていた。今回は片側通行だが旧道
が使えるらしい。せっかくなので旧道を使うことにした。
最初は大人しいカーブだが、『ここから碓氷峠』という看板が出ている地点か
ら急にきついカーブの連続になった。碓氷峠の旧道は道幅が狭いのに細かいカ
ーブが連続している。ツーリングペースだから余裕でクリアできているが、攻
めるとなるととんでもなく難易度の高い峠になるはずだ。
周囲の山々はすでに色付き始めていた。もうちょっとで綺麗な紅葉を見ること
ができるはずだ。途中、何ヶ所か旧JR信越本線の線路が見えた。ついこの間
までここを『あさま』が走っていたのだが、現在では廃止されてしまっている。
いままでなら四季折々の風景を楽しむことができたはずだが、今は新幹線でト
ンネルをくぐるだけである。
- 北軽井沢を目指せ
碓氷峠を上り詰めるとそこは軽井沢である。泊まることになっているホテルは
北軽井沢にあるらしい。北軽井沢と名乗っているが、実は群馬県である。詐欺
にあったような気がする。
北軽井沢に行くためには峠を越えなければならない。この峠、結構曲者である。
通行量が多いためか、路面はうねっているし、降雪時でも使用されているせい
か、車線を示すラインが消えている。ひどい車は2車線道路の真中を走ってい
る。
峠を登り切ると左側には浅間山が見える。目の前には一面の緑。雄大な景色で
ある。有料道路と一般道があったが、タンデムしているので、一般道を進む。
太陽が浅間山の影に隠れてしまったので、気温がかなり下がってきた。
- ホテルはどこだ?
最初は『大きなホテルらしいし、看板の1つくらい出ているだろう』という軽
い気持ちで進んでいた。地図(というのもはばかられるくらいのかなり粗い縮
尺だが)によると有料道路との分岐からホテルまではすぐ近くのように見える。
5分くらい進んでいくが、看板は出てこない。それでも進んでいくと、どう
見ても山を下っているように見えた。明らかにおかしい。
路肩にバイクを止めて地図を再確認する。ここで自分が見ていた地図の裏にも
うちょっとマシな地図があったことに始めて気がついた。それによると、つい
さっき通り過ぎた交差点で曲がらなければならなかったらしい。そのままUタ
ーンする。
交差点を曲がり、白樺(と思われる)林の中を進んでいく。2、3分ほど進んだ
ところにようやくホテルが見つかった。
- ホテル『軽井沢1130』
しかし、、、なんとも贅沢で、高そうなホテルである。軽井沢によくあるタイ
プだ。部内旅行で泊まるようなホテルではないと感じた。
おまけに、一人はツナギを着ているし、残りの二人もお世辞にも『綺麗』とは
いえない格好をしている。ビクビクしながら中に入っていった。が、バイクを
どこに置けばよいのか分からない。Oがフロントで聞いてきたところ、正面玄
関の脇に止めて良いとのことだった。
とりあえず、部屋に入って着替えたかったが自分と同じ部屋の人間がすでに鍵
を受けとっているらしく、中に入ることができない。ツナギでうろうろするの
も嫌だったので、Oに頼んで鍵を取ってきて貰うことにした。
- これまた贅沢な部屋
なんとか部屋の鍵が手に入ったので、荷物を持って自分の部屋に行く。玄関ホ
ール(あえてこう書くことにする)はマンションの玄関としても通用するほど落
ち着きのあるものである。トイレと洗面所、風呂場があり、入口のすぐ横にベ
ッドルームがある。ここに2つベッドが並んでいる。メインの部屋の入口には
小さな流し台があり、ポットやコップ類が置いてある。さらにソファーがあり、
正面にはテレビがある。その横は壁にクローゼットがあり、ベッドが2つ並ん
でいる。これでちゃんとしたキッチンが備えてあれば2LDKのマンションに
早変わりである。
- 風呂へ
とにかく、ツナギを脱ぎたかったので着替えることにした。部屋の窓から浅間
山が見える。しばらくぼーっとしていたが、あまりにもお腹が空いたので、2
Fにある売店で食料を調達してきた。テレビを見ながらお菓子を食べていると、
先輩が戻ってきた。どうやら風呂に入ってきたらしい。体一つで行けばタオル
も用意されているそうだ。こりゃ〜行くしかないでしょう。
風呂にはジャグジーとサウナが備え付けられている。外には露天風呂もある。
今日一日の疲れをジャグジーで癒す。なかなか気持ちが良い。ちょっと外気が
冷たかったが、露天風呂も最高である。
- 宴会
一応、豪華なリゾートホテルだが、夜は宴会となった。いつも通りの大騒ぎが
展開されたのは言うまでもない。21:00頃に宴会はお開きとなった。明日
もバイクで走らなければならないので部屋に戻って寝ることにする。
To be continued…
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